2017年9月13日水曜日

「サッカー戦術 6 連続したダイレクトパス」についての雑感

「サッカー戦術 6 連続したダイレクトパス」の紹介

書籍にも書いたように、この研究(書籍)の動機は、サッカーの試合でしばしば見られる連続したダイレクトパスについて定量的に知る事でした。パスの速度や距離、ボールの移動時間について、です。




当初の目的は、パス速度、距離、移動時間のパラメータ範囲が大雑把に分かれば良いという程度だったので(そういうデータ・記事を読んだことが無かった)、これはクリアできました。

第2章で見せた、ボールの移動時間が「一様ではない(離散化していそう)」という結果については、驚きでした。

サッカーの攻撃(パス回し)では、「リズムが出てきた」という表現がしばしばなされますが、連続したパス回しが「成功しやすいリズム(ボールの移動時間)」があるのかもしれません。

そのリズムがどこに由来するかも興味深いですが、正直、脳やら肉体構造についてはお手上げです。


サンプルが40程度と少ないのが今回の結果の弱点ですが、トラッキングデータの生データがあれば、より正確なサンプルを増やせます。

サンプルを増やせるなら、1チームの1シーズンを単位として調べるべきでしょう。

プレーしているのが制限された集団である以上、多くのチームからサンプルをとって来ると傾向が均されてしまうのではと思います。

リーガ・エスパニョーラのトラッキングデータ、公開してくれませんかね?レアル・マドリードとバルセロナのデータを解析したいです。


プリントアウトした紙面上での測定は、計算機での解析に慣れた身にとっては本当に面倒でした。

あんな手作業してたら、研究も進まなくて当然です。(もうムリ)

QuickTimePlayerについては、動画のコマ送りが出来るので研究員時代から重宝していました。(というか業界の皆さん使ってました。)

サッカーに限らず、動画のコマ送りができるアプリを私は他に知りません。(なんちゃってコマ送りだとしても)


現代の研究発表の王道としては、今回のような(初期解析の)結果は、ゼミで発表して、学会で発表して、論文にして、というステップを踏むわけですが、そんなお金も時間も無いので、そのまま出版しました。

「ボールの移動時間の分布が一様ではない」という傾向が、サンプルを増やした結果覆されても、それは不思議ではありません。(サンプルは選ぶべきですが)

今回の結果が、サッカーの定量的な研究の誘い水になる事を期待しています。



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